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top>MENについて>MEN2とは?>11.子供の遺伝子検査や予防的手術はいつ行うべきですか?

11.子供の遺伝子検査や予防的手術はいつ行うべきですか?

家族性に腫瘍を生じてくる病気はいくつも知られていますが、その多くは成人になってから発症します。しかしMEN2では成人に達する以前に甲状腺髄様癌、あるいはその前段階の変化が甲状腺に生じてきます。したがってMEN2の患者さんのお子さんに対するスクリーニング(ホルモン検査や画像検査)をいつ始めるか、あるいは遺伝子検査をいつ行うかはとても重要な問題です。
早目に(生まれて間もない時期に)遺伝子検査によってお子さんにMEN2の体質があるかどうかを診断することは、予防的手術で甲状腺髄様癌の発生を防ぐためには有用だと考えられます。一方、遺伝カウンセリング についての説明の中で述べたように、遺伝子検査を受けるか受けないかは遺伝子検査の特殊性を十分に理解した上で本人が決めるのが原則です。しかし小さなお子さんではそのような問題を自分自身で決断するのは無理です。親の意向で子どもの遺伝子検査を行ってもよいのは、遺伝子検査を早く行うことが明らかに有益である、逆に言えば遺伝子検査が遅れることで明らかに治療上の不利益が生じるような場合であると言えますが、 MEN2 に関しては親の意志のみで遺伝子検査を行っても良い疾患である、と考えられています。

欧米から提出された最近のガイドラインではMEN2の親から生まれた子どもに対しては出生後早期に遺伝子検査を行い、MEN2Bでは生後6か月以内に、MEN2Aでは5歳までに予防的手術を行うことを推奨しています。しかし現在日本でこのような早期に予防的手術を行っている医療機関は少ないと思われます。実際には、保因者とわかったお子さんに対してもすぐに予防的手術はせず、カルシトニンの測定や甲状腺の超音波検査、さらには吸引細胞診や負荷試験を行って経過を見ていき、陽性所見が現れた時点で手術を行っても遅くない、と考える専門医が多いようです。これは日本人の甲状腺髄様癌が欧米人のそれに比べて臨床的におだやかであると思われること、予防的手術は年齢が高くなって身体がある程度大きくなってからのほうがより安全に行えることなどが大きな理由と考えられますが、遺伝あるいは遺伝性の病気に対する理解や考え方が国や地域によって決して同じではないことも無視できない要因と思われます。いずれにしてもこうした問題をよく理解し、納得の上で方針を決めていくために遺伝カウンセリングは必須のものです。

褐色細胞腫や副甲状腺機能亢進症は定期的な検査を行っていれば、発症してからでも十分に対処できることや、これらの病気はMEN2の患者さん全員に発症するわけではないことから、予防的手術の対象とは考えられていません。


甲状腺髄様癌の負荷試験

ガストリンやカルシウムを静脈から注射すると、正常C細胞ではカルシトニンの分泌は影響を受けないか、若干低下します。これに対し、髄様癌細胞ではこれらの刺激に対してカルシトニンの分泌が高まります。この現象を利用して、薬剤の注射前後で血液中のカルシトニンの濃度を測定し、髄様癌の発生を早期に診断しようというものです。海外ではガストリンが用いられることが多いですが、日本では最近ガストリンが入手困難になったため、通常はカルシウムが用いられます。